
四字熟語というと難しいイメージがあるかもしれませんが、実は私たちの日常生活に深く根ざした言葉がたくさんあります。特に「あ」から始まる四字熟語は、愛や悲しみ、安らぎといった人間の感情を表現するものが多く、覚えておくと文章や会話がぐっと豊かになります。
今回は「あ」から始まる四字熟語を網羅的に集めて、その読み方と意味を分かりやすく解説していきます。クイズ感覚で楽しみながら読んでもらえれば嬉しいです。
目次
「あ」から始まる四字熟語の言葉一覧リスト
| 漢字 | 読み方 | 簡単な意味 |
|---|---|---|
| 哀哀父母 | あいあいふぼ | 生み育ててくれた父母の恩に報いられなかったことを嘆き悲しむ |
| 合縁奇縁 | あいえんきえん | 不思議な巡り合わせの縁。人と人が気心が合うのはみな因縁による |
| 哀感頑艶 | あいかんがんえん | 物悲しい歌声や文芸作品が、人を感動させるほどの美しさと哀しさを兼ね備えている |
| 哀毀骨立 | あいきこつりつ | 父母などの死を悲しむあまり、体がやせ衰えて骨ばること |
| 愛及屋烏 | あいきゅうおくう | 愛する人のものまで愛する、という意味から、転じて、愛情がきわめて深いこと |
| 哀矜懲創 | あいきょうちょうそう | 罰は反省を促すものであり、罰を与える者は相手への哀れみや情けの心を持つべきという戒め |
| 哀鴻遍野 | あいこうへんや | 悲痛な叫び声をあげる避難民が、野のいたる所にいる悲惨な様子 |
| 相碁井目 | あいごせいもく | 人にはそれぞれ実力差がある(囲碁の腕前による) |
| 哀糸豪竹 | あいしごうちく | 悲しげな音を出す琴(哀糸)と、力強く生き生きとした笛(豪竹)が奏でる、人の心にしみわたるような管弦の美しい響き |
| 愛執染着 | あいしゅうぜんちゃく | 男女の愛欲に強く執着することを |
| 哀訴嘆願 | あいそたんがん | 深く悲しみ、あるいは切実に思いを込めて、相手に頼み込むこと |
| 愛多憎生 | あいたぞうせい | 度が過ぎるほど愛情を受けることは、第三者の憎しみや嫉妬を招き、身を滅ぼす原因になるという意味 |
| 哀悼痛惜 | あいとうつうせき | 故人の死を深く悲しみ、惜しむ気持ちを強く表す言葉 |
| 愛別苦離 | あいべつくり | 愛する者と離れる苦しみ(愛別離苦と同じ意味で用いられることも) |
| 愛別離苦 | あいべつりく | 愛する人や物と別れなければならないという苦しみ、悲しみを指す言葉(仏教における四苦八苦の一つ) |
| 曖昧模糊 | あいまいもこ | 物事の内容や意味がはっきりせず、ぼんやりとしている様子 |
| 阿吽二字 | あうんにじ | 息の合った関係。万物の始まりと終わり、呼吸の吐く息と吸う息、あるいは阿形と吽形の対を表す言葉 |
| 阿吽之息 | あうんのいき | 息の合った呼吸。阿吽(あうん)の呼吸」とは、二人以上の人が言葉を交わさなくても意思が通じ合い、互いの行動やタイミングがぴったり合うこと |
| 青息吐息 | あおいきといき | 弱々しく息をする、または困り果ててため息をつくこと |
| 悪衣悪食 | あくいあくしょく | 粗末な衣服と粗末な食事のこと、または質素な生活のたとえを意味 |
| 悪因悪果 | あくいんあっか | 悪い原因が悪い結果を生む |
| 悪逆非道 | あくぎゃくひどう | 人道に外れた極めてひどい悪事を指し、その行為やその様 |
| 悪逆無道 | あくぎゃくむどう | 極めて邪悪で道徳がない。人の道や道理に背いた、大変な悪事や残酷な行い |
| 悪事千里 | あくじせんり | 悪い行いや悪い評判は、どんなに隠してもすぐに世間に知れ渡ってしまうこと |
| 悪戦苦闘 | あくせんくとう | 非常に厳しい戦いや努力をすること |
| 悪人正機 | あくにんしょうき | 「自らの力で煩悩から抜け出せない『悪人』こそが阿弥陀仏の本願による救いの第一の対象である」という意味(浄土真宗の教え) |
| 握髪吐哺 | あくはつとほ | 優れた人材を求めることに熱心なこと、あるいは賢人の助言を求めることに熱心なこと。食事も忘れ、急いで人材を迎える(賢者を求める意) |
| 悪婦破家 | あくふはか | 夫や家族を顧みない身持ちの悪い婦人のせいで、家庭が破綻すること |
| 悪木盗泉 | あくぼくとうせん | 清廉潔白な人がたとえ困窮しても不正なことに近づかない、という意味 |
| 悪魔調伏 | あくまちょうぶく | 人間に害をなす悪魔や怨敵を、お経や祈祷の力によって制し、自身の意に従わせること |
| 阿衡之佐 | あこうのさ | 優秀な宰相や賢い家臣が政治を補佐して手伝うこと |
| 足枷手枷 | あしかせてかせ | 自由な行動を妨げるもの。束縛するもの。 または、自由を束縛されている状態 |
| 阿修羅道 | あしゅらどう | 仏教の六道の一つで、阿修羅が住み、争いや怒りが絶えない世界のこと。強い闘争心、疑心、嫉妬、執着などによって、絶えず苦しみに満ちた世界。現実世界において、もめごとや争いが絶えない状況 |
| 鴉巣生鳳 | あそうせいほう | 愚かな親から優れた子供が生まれること、また、貧しい家から優れた人物が現れることのたとえ |
| 安宅正路 | あたくせいろ | 仁(安宅)と義(正路)のこと。人としての安住の地と正しい道。仁義を住む家と歩む道にたとえて、人として正しく生きる基本的な心構え |
| 可惜身命 | あたらしんみょう | 身体や命を大切にすること |
| 遏悪揚善 | あつあくようぜん | 悪事を禁じ、善行を勧めること |
| 悪漢無頼 | あっかんぶらい | 悪いことや乱暴な行為をする人 |
| 悪鬼羅刹 | あっきらせつ | 極めて恐ろしく、容赦のない存在 |
| 悪口雑言 | あっこうぞうごん | 口に任せてさまざまに悪口を言うこと、また、その言葉そのもの |
| 悪口罵詈 | あっこうばり | ひどい悪口を浴びせののしること |
| 阿鼻叫喚 | あびきょうかん | 人々が激しく泣き叫び、逃げ惑うような、極めて惨めで混乱した状況 |
| 阿鼻地獄 | あびじごく | 仏教における八大地獄の最下層に位置し、最も重い罪を犯した者が落ちるとされる地獄。絶え間なく激しい苦痛に苛まれる場所 |
| 阿附迎合 | あふげいごう | 相手に気に入られようとして、へつらいやこびをすること |
| 雨栗日柿 | あまぐりひがき | 「雨の多い年には栗がよく実り、日照りの多い(晴れの日が多い)年は柿がよく実る」という意味。この言葉は、一般的に自然の気象現象や作物の生育サイクルを表しますが、稀に「起こりえない出来事」を指すために使われることもありますが、それは本来の意味ではありません。 |
| 蛙鳴蝉噪 | あめいせんそう | やかましく役に立たない議論。カエルやセミがやかましく鳴き騒ぐ様子を表し、転じて内容の乏しい文章や、騒がしいだけで実りのない議論を揶揄(やゆ)する言葉。騒がしいだけで何の役にも立たないこと、無駄な言いまわしが多いことなど |
| 阿諛追従 | あゆついしょう | 相手に気に入られようと調子の良いことばかりを言ったり、おせじを言ったりして機嫌を取り、こびへつらう態度。 |
| 暗雲低迷 | あんうんていめい | 今にも雨が降り出しそうなほど黒い雲が低く垂れこめている状況、または、よくないことや重大な出来事が起こりそうな不穏な気配がする、あるいは情勢が不安な状態をたとえる四字熟語です。転じて、何が起こるかわからない不安な状況が長く続く様子を表すこともあります。 |
| 案外容易 | あんがいようい | 意外に簡単。予想していたよりも難しくなく、簡単である」という意味です。期待していたり、心配していたりしたことの程度が実際には軽く、容易であったときに使われる言葉。 |
| 安閑恬静 | あんかんてんせい | 穏やかで心が安らかな様 |
| 安居危思 | あんきょきし | 平穏な時でも危険を忘れず、常に用心を怠らないこと。平和で安全な状況(安居)にいるときに、万が一の危険や危機的状況(危思)を想定し、常に用心を怠らないこと |
| 安居楽業 | あんきょらくぎょう | 置かれた環境に安らかに落ち着き、自分の仕事を楽しんで満足すること |
| 安車蒲輪 | あんしゃほりん | 高齢者をいたわって大切にすること、また、賢者を厚遇して招聘すること |
| 安常処順 | あんじょうしょじゅん | 心配事がなく平穏な日々に慣れ、時の流れに身を任せて、万事が順調に進んでいる境遇にあること。現在の安定した生活に満足し、自然な成り行きに身を任せる様子 |
| 安心快楽 | あんしんかいらく | 心配事がなく穏やかな安心感と、喜びや楽しさからくる精神的な満足感の両方を意味する言葉 |
| 安心立命 | あんしんりつめい | 人力を尽くして、心を安らかにして落ち着いて天命にその身を任せること |
| 暗箭傷人 | あんせんしょうじん | こっそりと人を害すること |
| 安全第一 | あんぜんだいいち | 何よりも安全を重視すること |
| 暗送秋波 | あんそうしゅうは | ひそかに色目を使うこと、またはひそかに媚びを売って取り入ろうとすること。転じて現代では人への媚びへつらいや、ひそかな意思疎通にも使われます。 |
| 暗中模索 | あんちゅうもさく | 暗闇の中で手さぐりで何かを探すように、手がかりがないまま試行錯誤しながら、問題の解決策や進むべき道を探し求めている状態 |
| 安穏無事 | あんのんぶじ | 世の中が穏やかで、特別な事件や事故が何も起こらず、平穏な状態が続いていること |
| 安貧楽道 | あんぴんらくどう | 貧しくても心安らかに人としての道を楽しむこと |
| 安分守己 | あんぶんしゅき | 自分の身分や境遇に満足し、自分の分をわきまえて高望みせず、おとなしくしていること |
| 安楽浄土 | あんらくじょうど | 極楽浄土。仏教において極楽浄土の別名であり、一切の苦悩や心配から解放された、幸福に満ちた清浄な理想の世界 |
まとめ:「あ」から始まる四字熟語を使いこなそう
「あ」から始まる四字熟語は、愛情や悲しみ、善悪、平安など、人間の感情や生活のあらゆる場面を表現する豊かな言葉たちです。現代でも十分に通用する表現力を持っているものが多く、使いこなせるようになると表現の幅がぐっと広がります。
中でも「阿吽の息」「悪戦苦闘」「安心立命」「悪事千里」「曖昧模糊」などは、日常会話やビジネスシーンでも使いやすい実用的な四字熟語です。
読み方が難しいものもありますが、一つずつ覚えていけば必ず使えるようになります。まずは気に入った四字熟語を一つ選んで、日常の中で使ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。
四字熟語は日本語の美しさを表現する素晴らしい文化遺産です。これらの言葉を通じて、より豊かな表現力と教養を身につけていただけたら嬉しいです。
